2023年08月29日

陸上自衛隊 防弾チョッキ(参考品) Ⅱ形 Ⅱ-P形-0/4-E 1989年度

1989年(平成元年)、千葉県松戸市に所在する陸上自衛隊 松戸駐屯地の需品学校、及び船橋市に所在する習志野駐屯地の第一空挺団にて、従来の旧迷彩に取って変わる次期新型迷彩の試作品が試験採用されました。

1992年(平成4年)に自衛隊史上初めて制式採用されている「戦闘防弾チョッキ」の原型の1つとなったのが、防弾チョッキ(参考品) Ⅱ形です。

品名に「Ⅱ形」とありますが、納入年度からして平成15年頃に採用された「防弾チョッキ2型」とは無関係です。1989年当時は様々な防弾チョッキの試作品が存在し、試作した際にⅡ形と名付けられたようです。

旧迷彩を基に現行の迷彩の色で配色したような色合いで、旧迷彩と現行の迷彩を足して2で割った感じです。旧迷彩と新迷彩の中間的な位置づけである事から、正式名称ではないですが、一般的に「中間迷彩」と呼ばれており、次期新型迷彩の候補として試作された内の1つです。

デザインは基本的に「戦闘防弾チョッキ」に準じておりますが、試作品独自の特徴があります。

肩パッドは小銃の銃床を肩付けしやすい様、右側が大きく出来ている点は戦闘防弾チョッキと同じ仕様ですが、試作品には肩パッドにも偽装ループがあります。試作段階で両襟は戦闘防弾チョッキの襟より高めにできており、汗汚れ防止の襟カバーも未だ存在しませんでした。

1989年当時の新小銃である「89式5.56mm小銃」用の弾入れ1本用が4個ついています。

チョッキ本体の前後、左右襟カバーと肩パッドにそれぞれ専用の防弾繊維が入っています。制式採用された戦闘防弾チョッキと同様、せいぜい拳銃弾や砲弾の破片を阻止できる程度の性能しかなかったと思われます。

自衛隊が小銃弾を阻止できるセラミックプレートを挿入できる防弾チョッキを採用する様になったのは、イラク派遣が始まった後ですから、まだここ20年くらい前の事です。

ラベルには種類という項目があり、「Ⅱ-P形-2号-0/4-E」と記載されています。あくまで憶測ですが、「Ⅱ」は試作品された防弾チョッキ(参考品)の2種類目、P形は米軍のPASGTを参考にした事からP形、2号はサイズ、「0/4」は全体の個数を示しているのでしょうか。Eは謎です。試作品の防弾チョッキにそれぞれのアルファベットがふり当てられたのかもしれません。

試作品の戦闘装着セットには、戦闘服(一般用・空挺用)、防寒外衣、つりバンド、弾帯、集約チョッキ等も存在します。

1992年(平成4年)に現在の陸上自衛隊の迷彩が制式採用されました。

陸上自衛隊 防弾チョッキ(参考品) Ⅱ形 Ⅱ-P形-0/4-E 1989年度
陸上自衛隊 防弾チョッキ(参考品) Ⅱ形 Ⅱ-P形-0/4-E 1989年度
陸上自衛隊 防弾チョッキ(参考品) Ⅱ形 Ⅱ-P形-0/4-E 1989年度





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Posted by 歴代の自衛隊装備 at 19:20 │陸上自衛隊